周囲の変化にあわせて、からだの色を変えることが出来るんですよ。
分類 | 両生綱無尾目アマガエル科 アマガエル属 |
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分布 | 日本、朝鮮半島、中国東部まで広く分布し、その姿や鳴き声はよく知られています。 日本では北海道、本州、四国、九州、国後島、佐渡島、隠岐諸島、壱岐島、対馬、大隅諸島などに分布し、伊豆諸島の八丈島には国内外来種として定着しています。 |
形態 | 体長は2.0 - 4.5センチメートル程で、メスの方が大きく、通常オスは4センチメートル以下です。鼻筋から目、耳にかけて褐色の太い帯が通っています。前足に4本、後足に5本の指があり、すべての指先に丸い吸盤があります。この吸盤で枝から枝へ飛び移ったり、ガラスの垂直面に張りつくこともできます。 体色は腹側が白色で、背中側が黄緑色ですが、背中側は黒っぽいまだら模様の灰褐色にも変えることができ、保護色の一例としてよく知られています。この色の変化は、周りの環境、温度、湿度、明るさなどに応じてホルモンを分泌し、皮膚の色素細胞を拡張・伸縮させることによるものです。また、たまに色素細胞の変異が起こり、体色が青や黄色の個体がみられることもあります。たまに話題となる空色の蛙は、本種の黄色色素が先天的に欠乏したものです。なお、夜間では土の上でも緑色を呈することがあります。皮膚はつるつるした粘膜に覆われるが、この粘膜からは体を細菌などから守るため毒が分泌されています。手で触れた時には目や傷を触らず、手洗いすることが望ましいです。 |
繁殖 | 成体は春になると、水田や池などの止水域に集まります。この頃のオスの鳴嚢は茶色っぽくなり、メスと区別しやすいです。オスの鳴き声を手がかりにメスが現れると、オスはメスの背中に抱きいて抱接します。つがいは抱接した状態で水面を泳ぎ、逆立ちしながら産卵・放精をおこないます。受精卵は細い寒天質のひもで数個ずつつながって水面を漂い、植物の茎などにからみつきます。 受精卵は急速に細胞分裂し、水温など環境条件にもよりますが2-3日ほどで孵化すします。孵化した幼生は褐色で、外鰓(がいさい、そとえら)を持ちますが、やがて鰓は体内におさまり、「オタマジャクシ」の形になります。田圃を主とする繁殖地とする本種は、他種のオタマジャクシと泳ぐことも多いです。最大で5センチメートルに成長します。1か月ほどかけて、ゆっくりとオタマジャクシからカエルの姿へ変態します。成長するにつれ尾のつけ根に小さな後足が形成され、同時に体内で前足も形成されていきます。後足が大きくなると、えら穴から前足が出て、尾が徐々に短くなります。褐色だった体色がうすくなり、背中が黄緑色へ変わります。子ガエルは尾が短くなったころに上陸し、思い思いの方向へと散ってゆきます。寿命は数年ほどとみられています。 |
鳴き声 | ニホンアマガエルの鳴き声は「ゲッゲッゲッゲッ…」「クワックワックワッ…」という表現をされます。鳴くのはすべてオスで、オスの喉には鳴嚢(めいのう)という袋があり、声帯で出した声を鳴嚢で共鳴させて大声を生みだしています。 |
豆知識 | 雨鳴きについては、以下のような昔話が各地に伝わっています。『アマガエルのヒミツ』 秋山 幸也 山と溪谷社 2004年3月より 「むかしむかしある所にアマガエルの親子がすんでいました。しかし子ガエルは大変なヘソ曲がりで、親ガエルの言いつけと反対のことばかりやっていた。 いよいよ死ぬという時に、親ガエルは(墓が流されないように、山の上に墓を作ってもらいたい。しかしこいつは言いつけと反対のことをするから…)と考え、「墓は川のそばに建ててくれ。」と言い残し死んだ。 ところが子ガエルはこの時になって反省し、「遺言は守らなければならん」と、本当に川のそばに墓を建ててしまいました。そのため雨が降りそうになると「親の墓が流される」と泣くのだという。」 |