多様な農村文化の継承

村人が舞い謡う能楽

かつて、歌人である大町桂月が農家の人たちが畑仕事で謡曲を口ずさむ日常を見て「鶯や十戸の村の能舞台」と詠んだ句があるほど、能が暮らしの中に溶け込んでいます。
能の大成者である世阿弥が佐渡に配流されたこともさることながら、能楽師出身で佐渡代官の大久保長安が神事能として定着させたことで、島内各地に広まったといわれています。
最も盛んだった時代には200以上の能舞台があったといわれ、今でも30以上の能舞台が現存しており、日本の能舞台の3分の1を占めているともいわれています。また、現存する能舞台の半数近くが新潟県や佐渡市の文化財に指定されています。
春から秋にかけて演能される佐渡の能は、多くの住民や観光客を楽しませています。

本間家能舞台

本間家能舞台

大膳神社 能舞台

大膳神社 能舞台

五穀豊穣・家内安全を祈る鬼太鼓

鬼太鼓は、五穀豊穣や家内安全を祈りながら集落の家々の厄を払う神事で、佐渡を代表する芸能の1つです。
島内にある集落のうち、約120の集落で継承されているといわれ、大きく分けると「一足型鬼太鼓」「豆まき型鬼太鼓」「前浜型鬼太鼓」「花笠型鬼太鼓」「潟上型鬼太鼓」の5つの流派が存在します。ただし同じ流派であっても舞い方や太鼓のたたき方が微妙に違っていて、同じものは1つもないといえます。

佐渡の文化芸能:鬼太鼓

鬼太鼓

佐渡の文化芸能:鬼太鼓と獅子

鬼太鼓と獅子

受け継がれる農耕神事

国の重要無形民俗文化財に指定されている車田植や県の無形民俗文化財に指定されている田遊神事など、農業にまつわる神事も島内各地で受け継がれています。

車田植

車田植

田遊神事

田遊神事

金銀山がもたらす豊かな生活が農業や農村を支え、様々な文化や伝統芸能が豊作を願う神事として継承され、佐渡独自の農村文化を作り上げてきました。このような芸能や神事が継承されることによって地域住民の連帯意識が強くなっています。そして、住民間の相互扶助によって農業の共同作業性も高まり、農業や農地を守っています。
GIAHS認定にあたっては、佐渡独自の多様な農村文化を保全し続けてきたことも大きく評価されました。

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